元請・下請を問わず、公共工事に携わる建設業者は少なくありません。
下請業者として公共工事の現場に入る場合は、建設業許可があれば特に問題はありません。(500万円未満の工事であれば、本来は許可不要ですが、元請のゼネコンなどが許可取得を条件とするケースが多いのが実情です。)
しかし、元請として公共工事を受注するためには、さまざまな準備が必要になります。ここでは、その具体的な流れについて解説していきます。
建設業許可を取得する
公共工事を役所から直接受注する場合、たとえ500万円未満の小規模工事で建設業許可が不要であっても、許可を取得しておく必要があります。
建設業許可を取得するまでの詳細な流れについては別ページで解説していますが、都道府県知事許可の場合、申請から許可が下りるまでに最短でも1か月、長いと2か月ほどかかります。
国土交通大臣許可となると、3~4か月かかるため、許可取得だけでもかなりの時間を要する点に注意が必要です。
経営事項審査(経審)を申請する
建設業者は毎年、決算終了後に経営事項審査(経審)を受け続ける必要があります。
この審査によって、建設業者としての評価点数が決まり、その点数を基に役所が業者をランク分け・選定します。
経審の詳細については別ページで解説していますが、結果を出すまでには以下の3つの手続きを経る必要があります。
- 決算変更届の提出
- 経営状況分析の実施
- 経営事項審査の申請
なお、建設業許可を取得していれば、会社設立直後で決算が終わっていなくても経審を受けることは可能です。ただし、その場合の点数は低くなります。
入札参加資格審査(指名願い)を行う
公共工事を受注するためには、工事を希望する省庁や都道府県、市町村ごとに入札参加資格申請を行う必要があります。
この申請は年に一度、主に10月から2月頃に受け付けされることが多く、この期間を逃すと1年間申請できなくなる可能性があるため注意が必要です。
国の省庁や都道府県などは随時受付を行っているケースが多いですが、小規模な市町村では年に1回のみの受付となることが一般的です。
タイミングによっては最長で約1年間待たなければならない場合もあるため、どの役所の公共工事を受注したいのかを事前に決め、各自治体のウェブサイトなどで受付時期を確認しておくことをおすすめします。
工事入札の種類を理解する
入札までの準備が整ったら、次はいよいよ入札です。
ただし、入札には大きく分けて以下の3つの方式があります。
① 一般競争入札
役所が設定した基準を満たしていれば、どの業者でも参加可能な入札方式です。
いわば自由競争のような仕組みで、大規模な工事ほどこの方式が採用される傾向があります。
公募情報は官公庁のウェブサイトや建通新聞などで確認できます。
② 指名競争入札
役所が特定の業者を選び、その中で最も低い金額を提示した業者が落札できる方式です。
以前はこの方式が多く採用されていましたが、特定業者への指名が固定化しやすく、談合リスクが指摘されたため、現在は全体の約7割が一般競争入札に移行しています。
③ 随意契約
役所が特定の業者を選び、競争なしで契約を結ぶ方式です。
通常は、特殊な工事や緊急性の高い工事で用いられます。
入札方式は、工事の規模や発注する自治体によって異なりますが、基本的には金額が大きい工事ほど一般競争入札、金額が小さい工事ほど指名競争入札や随意契約が採用される傾向にあります。
特に、公共工事の実績がない業者にとっては、まずは一般競争入札に積極的に参加し、実績を積み上げることが重要です。
指名競争入札や随意契約は、自治体側が信頼できる業者を選ぶ傾向があるため、一般競争入札での実績を重ねることで、将来的な指名を受けるチャンスが広がるでしょう。
入札金額の算出方法を把握する
入札では、入札金額を提示し、基本的には最も低い金額を提示した業者が公共工事を落札する仕組みです。
以前は、最低制限価格(この金額を下回ると失格となる基準額)が事前に公表されていたため、多くの業者がその最低額で入札し、最終的にくじ引きで落札者を決めるケースが一般的でした。
その結果、「公共工事は運任せのようで面白みがない」と感じる業者も少なくありませんでした。
しかし近年は、最低制限価格が落札決定まで公表されないのが一般的になり、さらに平成26年の法改正により、入札金額の内訳(詳細な見積もり)を記載した書類の提出が義務化されました。これにより、以前のようなざっくりとした総額だけではなく、正確な見積もりを作成した上で入札に臨む必要があります。
確かに、入札ごとに詳細な見積もりを作るのは手間がかかりますが、コストを正確に把握し、採算の取れる案件かどうかを見極めることは非常に重要です。
実際に、当事務所のお客様と話していても、見積もりの精度が会社の利益や資金繰りに大きく影響すると感じています。
見積もり金額を決める際には、「積算」という手法で各費用を積み上げていく作業が必要になります。
積算についての知識は、専門の書籍やセミナーなどを活用して学ぶとよいでしょう。
